内縁関係(事実婚)の離婚・離縁・解消について。財産の相続、子どもの戸籍や親権、養育費はどうなるのか?

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 ▼内縁関係(事実婚)
・内縁関係とは
・内縁の不当破棄
・不貞による損害賠償請求
・慰謝料
・財産分与
・相続
・子どもの戸籍と親権
・子どもの養育費
・重婚的内縁(夫婦の一方が他の異性と内縁関係を結んだ場合)
内縁関係とは

内縁関係というのは、結婚の意志が双方にあり、夫婦同然の生活をしている男女関係を言います。

同棲とは夫婦同然でも結婚する意志がない場合を言います。

結婚していない内縁、同棲では、法律の保護をうけることは原則としてできません。

ただし、内縁関係については、婚姻に準じる関係として、一定の法的保護が与えられています。夫婦の貞操義務、同居義務、協力義務、扶助義務、婚姻費用分担義務などの規定が適用されます。内縁の妻でも内縁関係を不当に破棄した相手に対して慰謝料の請求が認められています。財産分与についても、損害を補填するという理由で、請求が認められています。

内縁の不当破棄

内縁関係にあった男女のどちらかが、相手の同意なくして内縁関係を不当に破棄し、事実上の結婚生活が解消されてしまう場合を「内縁の不当破棄」といいます。

基本的に法的の婚姻関係ではありませんので、内縁関係の解消を拒否して争ったとしてもあまり意味のあることではありません。

不貞による損害賠償請求

相手の不貞行為に対しては、内縁関係といえども事実上の結婚生活を営んでいるわけですから互いに貞操義務を負っていると考えるべきです。不貞によって内縁関係を解消させた場合には、損害賠償を請求できます。

また、内縁関係に干渉して、これを破綻させた第三者は、損害賠償の義務を負うことが認められています。

慰謝料

内縁を解消するにあたって、責任が一方のみにある場合には、相手方に対して慰謝料の請求ができます。

財産分与

2人で築いた共有財産がある場合には、内縁の解消により財産分与の対象になります。基本的には夫婦関係に準じて考えることになっています。当事者で話し合いがつかない場合には、内縁関係での財産分与請求の調停または内縁関係での財産分与請求の審判を申し立てることができます。

相続

内縁関係はあくまで法的な婚姻関係ではありませんので、内縁の妻は内縁の夫の相続人にはなれません。

子どもは認知されている場合のみ遺産を相続できます。

内縁関係にあった夫が突然死亡し、2人で築いた財産がすべて夫名義だった場合はどうしたらいいのでしょうか。裁判所は、「死亡による内縁共同体の解消に基づく財産分与は可能」(大阪家庭裁判所平成1.7.31)であるとして、内縁の妻は夫の相続人に対して財産分与を請求できることを認めています。

子どもの戸籍と親権

法的な婚姻関係ではないため、子どもは母親の戸籍に入りますので、親権については母親の単独親権になります。父親が認知したとしても法的な結婚をしていませんので、その子どもが父親の戸籍に入ることはありません。

内縁関係が解消された場合でも、子どもの戸籍に変化はなく、引き続き母親が単独で親権者となります。

子どもの養育費

母親から父親に対して、養育費の請求ができます。

父親が認知していれば問題はありませんが、認知していない場合には、父子関係を証明するのが大変困難です。

内縁関係にあっても、あらかじめ父親に子どもの認知を求めておくべきです。父親が認知しない場合には、裁判所にこれを請求することもできます。

重婚的内縁(夫婦の一方が他の異性と内縁関係を結んだ場合)

戸籍上の妻あるいは夫がいるのに、他の異性と結婚の意志をもって同棲生活を送る内縁関係を重婚的内縁といいます。

夫が不倫相手と内縁関係を結び不倫相手が妻子があることを知っていた場合には、妻は不倫相手に情交関係をやめるよう請求できるのはもちろん、慰謝料を請求できます。また、不倫相手は、慰謝料や財産分与の請求はできません。

妻のある男性と知りながら(悪意)、または知らなくても妻があるかどうか確認もせず(過失)、関係を結んだ女性に対しては、普通の内縁のような、結婚に準じた保護は一切認められていません。

しかし、妻子のあることを知らずに、または、夫がすでに事実上の離婚状態にあったり、単に離婚だけがすんでいない場合に、自分が正式の配偶者になれると信じて内縁関係に入った場合は、裁判例でも、善意、悪意で区別する必要があると解されるようになってきています。

重婚的内縁関係は、法律上の配偶者からみれば不法行為以外のなにものでもありません。しかし、それは夫婦の問題として解決すべきであって、内縁関係そのものは、その実体に基づいて判断すべきであり、不法行為とは別の問題であるという考え方になってきています。

 
 
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