婚姻の継続が困難な重大な事由とはどんな場合か 夫婦関係が修復不可能なまでに破綻し、もはや夫婦として円満な関係を維持することが困難な状態になっていれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚原因になることが認められていますが、内容は幅広く、限定されていないといえます。
同じような事柄が、あるケースでは離婚原因となっても、他のケースでは離婚原因とならない場合があり、夫婦のいろいろな事情と合わせて総合的に決められます。
- 性格の不一致
- 性生活の不一致
- 過度の宗教活動
- 刑事事件で刑務所に服役
- 暴力・暴言・虐待
- 配偶者の両親・親族との不和
性格の不一致が離婚原因になるか
夫婦関係が破綻していれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当します。
性格の不一致が原因で客観的に見て婚姻が破綻し、将来的にも修復の可能性がないという場合のみ離婚の請求が認められます。
夫の暴力は離婚原因になるか
家庭内で暴力が振るわれるような場合には、医師の診断書等で暴力の被害を受けた事実を証明することができますので、その上で「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるとして、裁判所は離婚を認めています。
一過性の暴力の場合には、その原因も考慮され、離婚原因と認められないケースもあります。
両親・親族との不仲は離婚原因になるか
両親・親族との不仲を改善する努力をせず、努力をしても関係が改善せず、そのために夫婦関係そのものが冷却してしまった場合には離婚原因となります。
過度の宗教活動は離婚原因になるか
宗教活動が節度を越え、家庭をないがしろにした結果、いさかいが絶えなくなり、日常生活にも支障をきたし、夫婦関係が破綻してしまった場合に、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるとして、裁判所は離婚を認めています。
浪費は離婚原因になるか
浪費により、夫婦共同生活が回復不可能なほどに破綻してしまった場合には、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当し、離婚が認められます。
しかし、これも程度の問題で、もっと夫婦で話し合い、夫婦が協力し合って努力すれば従前の夫婦生活を回復するのは不可能ではないとして、離婚を否定した判例があります。
性の不一致は離婚原因になるか
夫が性的不能である、夫が異常に性欲が強く妻が耐えられない、妻が潔癖症で性に対して嫌悪感を抱いている、性的嗜好が異常である、夫または妻が同性愛者である、などが離婚を認められた場合です。
性交渉の拒否が、即離婚につながるわけではありません。病気や高齢のため性交不能となった場合などは、離婚原因とはなりません。性交拒否や不能のために、愛情喪失し破綻に至った場合に離婚原因となります。
子どもができないと離婚原因になるか
子どもが生まれないだけでは離婚原因となりません。
子どもができないことが引き金となって、夫婦仲がぎくしゃくとしてきたという事情があれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」を理由とする離婚が問題となります。
性交渉の拒否だけで離婚原因になるか
夫婦の一方が長期間にわたって性交渉を拒否し、その結果、愛情が失われ、結婚生活が破綻を来たしたというような場合でなければ、離婚原因とはならないと考えられています。
共働きで夫が家事や育児にかかわろうとしない場合に離婚できるか
夫婦間の協力義務違反により、回復の見込みがないほど破綻しているか否かによって判断されます。回復の見込みがないほど破綻しているとみとめられれば、「婚姻を継続しがたい重大な自由」にあたり離婚が認められることがあります。
夫がマザコン、妻が実家離れしないという理由で離婚できるか
配偶者よりも親との関係を重視し、配偶者と協力しあう関係をつくろうとしないということは、夫婦としての協力義務に違反する行為です。そらが普通の人なら絶えがたい程度のものであれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして離婚が認められることがあります。妻が実家離れしない場合も同様です。
ギャンブルに熱中し生活費を入れない夫と離婚できるか
夫婦はお互いに協力・扶助し、生活費を分担する義務を負っています。夫婦の一方が、家庭が経済的・精神的に困ることになるのを知りながら、失業や病気などのやむをえない事情もないのに、勝手に生活費の分担をやめれば、悪意の遺棄として離婚原因になる可能性があります。ただ、悪意の遺棄といえるためには、家族が精神的・経済的に困窮していることを知っているだけでは足りず、困窮することを知りながら、一定期間の遺棄の状態が継続されることが必要とされています。
しかし、悪意の遺棄にならない場合であっても生活費の分担をやめたことにより家族が生活に困窮し、家庭が崩壊した場合には、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚原因になることがあります。
■ その他に、どんな場合に離婚はできるのか?
|