慰謝料
離婚を考えたとき、「慰謝料を請求したい」と思う人は多いでしょう。
しかし、いざ「慰謝料」とはいっても、詳しく知らないという人が大半ではないでしょうか?
ここでは、そんな慰謝料の素朴な疑問についてお答えしていきます。
また、慰謝料はポイントを押さえているかどうかで、金額に大きく差が出ることもあります。
できれば、離婚後のために資金はたくさん蓄えておきたいですよね。
「もらえるお金はしっかりもらっておきたい、その額は少しでも多いほうがいい。」
このサイトでは、そんな皆さんのために、離婚慰謝料の基礎知識に加えて、慰謝料を賢く取るためのポイントも解説していきたいと思います。
離婚慰謝料とは、パートナーから受けた「精神的苦痛」に対する、いわゆる「損害賠償」の一種です。
なので、パートナーに「不貞(不倫)」「暴力」などの明確な責任があれば請求ができますが、自分に責任があって離婚する場合、もしくはどちらに責任があると断言できないような場合は、慰謝料の請求ができません。
責任の所在を断定できない例としては、「性格の不一致」「信仰上の対立」「家族親族との不仲」などが挙げられます。
▼解決金とは何がちがうの?
離婚のお金の話をするときに、慰謝料とはべつに「解決金」という言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
「慰謝料」と「解決金」はまったく別のものです。
慰謝料 = 精神的苦痛への賠償として支払われるお金
解決金 = 問題の解決のために支払われるお金
たとえば、夫婦間でトラブルがあった場合、一方は離婚したいと主張し、もう一方は離婚を拒んでいるとします。
そういうときに「解決金」を支払うことで離婚をスムーズに促そうとすることがあります。
ただし、慰謝料とちがって法的根拠はありません。なので、慰謝料のような明確な基準や相場がなく、金額はケースによって大きく異なります(離婚願望が強ければ強いほど、金額を上げて相手を説得しようとする、など)。
▼離婚慰謝料の相場
離婚慰謝料の相場はおおまかに次のとおりです。ただし、実際の慰謝料は、婚姻期間や行為の悪質性など個々のケースによるところが大きいので、ここに記載された金額はあくまでも参考額です。
※悪意による遺棄とは?……失踪や生活費を入れないなど、正当な理由なく夫婦の同居・協力義務を履行しないこと。
▼離婚慰謝料の算定、考慮される要因は?
下記のような要素が算定の際に考慮されます。
など。
ポイント1! 慰謝料を多く取りたいなら「精神的苦痛」の証拠を積み上げよう
離婚慰謝料は「精神的苦痛」に対する損害賠償の一種だというお話をしました。
それはつまり、「精神的苦痛」が大きいと認められるほど、金額は高くなるということです。
たとえば、不貞が原因の場合は、不貞期間が長いほど、不貞行為の回数が多いほど、請求する側がこうむった精神的苦痛は大きいと見なされます。
DV(暴力)も同様です。期間が長く、回数が多いほど、慰謝料の額は高くなります。
ただし、どれだけ期間が長く、回数が多くても、その事実を第三者に認めてもらえなければ意味がありません。
なので、まずはしっかりその証拠を積み上げることが大切です。その証拠も、一度ではなく、何度も繰り返しきちんと掴んでおくことで、より「精神的苦痛」が大きいことを認めてもらいやすくなります。
ポイント2! 相場よりも多く慰謝料を取りたいなら「協議(調停)離婚」で
協議離婚とは、話し合いで離婚条件などを決める方法をいいます。
協議の場合、裁判と違って法的制限が入らないため、相手が納得すれば相場よりも慰謝料を高く支払ってもらうことが可能になります(相手が払うといえば、500万円にも1000万円にもなりうるわけです)。
また、協議離婚でのみ、慰謝料の分割払いが可能になります。
裁判で判決という形で慰謝料を決めた場合、一括払いになります。一括払いとなると、相手にお金がなかった場合、支払いを受けられなくなることがあります。分割だと、支払われやすくなるのに加え、すぐに支払ってもらえない代わりに慰謝料を高めに設定することもできるのです。
ポイント3! 財産分与に慰謝料が含まれるかは明記すべし
財産分与とは、夫婦が結婚生活の中で築き上げた財産を分けることをいいます。
財産分与と慰謝料はまったくの別物ですが、同じお金の話であるため、財産分与の際に慰謝料を上乗せして分ける金額を調整することが多々あります。
もちろん、財産分与を終えたあとに、別途慰謝料を請求するということも可能です。
ただし、慰謝料を含めたか・含めなかったかをきちんと契約書に明記してあるか、確認をしてください。
後から慰謝料を請求するつもりが、交わした契約書にすでに「慰謝料含む」と記載されていた……など、損をしたりトラブルの元になる可能性があります。
財産分与と離婚による慰謝料は性質が違うので、すでに財産分与がなされていても、不法行為を理由として別に慰謝料を請求することができる
財産分与に離婚による慰謝料を含めて定めることもでき、財産分与に慰謝料までが含まれている場合には、別個に請求することができない
財産分与を定めても、財産分与に慰謝料が含まれない場合、あるいは含まれたとしても精神的苦痛を慰謝するに足りない場合には、別個に不法行為を理由として慰謝料を請求することができる。
参考URL:裁判所HP より判例結果詳細
▼慰謝料の請求には時効がある!
慰謝料の請求は、離婚をした後でも可能です。
しかし、慰謝料が請求できる期間には時効があります。慰謝料の請求権は離婚が成立した日から3年間と定められており、それを過ぎると請求権できなくなります。
この3年の間に裁判を起こせば、時効は中断されます。
※離婚が成立した日とは……協議離婚では離婚届が受理された日、調停離婚では調停が成立した日、審判離婚では審判が確定した日、裁判離婚では判決が確定した日を指します。
▼3年以内に裁判を起こせないときはどうする?
3年の間に裁判を起こすのが難しいときは、内容証明などを送付して慰謝料を請求することで、6ヶ月の時効の完成が猶予されます。
ポイント4! 慰謝料請求は「離婚前」がいい!
離婚慰謝料は離婚後に請求することも可能です。
しかし、離婚が成立した後だと、相手がなかなか話し合いに応じなかったり、請求を無視したり、応じたとしても額を低く値切ることがあります。
なので離婚が成立する前に請求しておくことをオススメします。
ポイント5! 一度請求権を放棄すると取り返しがつかないので注意!
離婚を急ぐあまり、離婚の際に慰謝料について取り決めをしないというケースは少なくありません。
前項で触れた通り、慰謝料は離婚後にも請求は可能ですが、注意してほしいのは「一度請求権を放棄してしまったら、請求はできなくなる」ということです。
「請求権を放棄するはずがないじゃない」とおっしゃる方もミスしてしまいがちなのが、離婚についての取り決め内容を記載した離婚協議書等に、
「離婚に関する一切の債権および債務について関係ないものとする」
「離婚後も将来において離婚に関する一切の請求は行わないものとする」
などの規定を記載、承諾してしまうケースです。
この場合、詐欺や脅迫によってそうした約束をさせられた、重大な思い違いをしていたなど、特別な事情が認められない限り、慰謝料の請求は一切できなくなってしまいます。
慰謝料を離婚後に請求する場合は、必ず離婚協議書などの内容を確認するようにしてください。
▼「証拠」の有無が金額を大きく左右する
慰謝料を賢く請求するためには、協議・調停・裁判を問わず、証拠をそろえておくことが重要になります。
特に調停・裁判では、証拠がとても重要視されます。
証拠として採用される例は次の通りです。
<暴力・DV>
<不貞>
など。
▼不貞の「証拠」、採用の基準は「性行為を確認・推認できるかどうか」
不貞の証拠として調停・裁判の場で公に認められるものは、「性行為を確認ないし推認できる」証拠です。
たとえばメールやLINEなどで愛をささやきあっていたり、二人の仲睦まじい写真がでてきても、それだけでは「性行為があった」と推認できず、証拠能力としては弱いと判断されます。
よって、不貞の証拠をそろえる場合には、必ず二人がホテルへ行く、もしくはパートナーが浮気相手の家に一定時間滞在していることがわかる写真・録画を準備することが大切です。
ポイント6! 証拠は積み重ねるほど慰謝料を高くする!
離婚慰謝料とは、いわば相手から受けた「精神的苦痛」に対する損害賠償のようなものだといいました。
それは言いかえれば、精神的苦痛が大きいと判断されるほど、慰謝料は高くなる、ということです。
離婚原因が暴力・不貞にかかわらず、その期間が長く回数が多いほど、精神的苦痛は多大であると認められます。
なので、証拠を集める際には、一度や二度の証拠ではなく、継続した証拠を集めることをオススメします。
ポイント7! 証拠集めは専門家に頼む!
証拠を集める際には専門家である探偵事務所や調査会社に頼むことをオススメします。
専門家であれば、実際の裁判で証拠として認められることを前提とした調査をしっかり行ってくれます。
中には弁護士事務所と提携している会社もあるので、そういった会社であれば実際に離婚になった際もスムーズに連携を取ることができます。
▼基本的に慰謝料に税金はかからない
慰謝料は精神的苦痛に対する賠償金なので、基本的には税金は課せられません(所得税法では非課税とされています)。
▼例外的に税金がかかるケースも
ただし、例外的に税金がかかるケースがあります。
慰謝料に税金がかかるケース
支払う側と受け取る側の税金、居住用不動産の税金の詳細は「財産分与」を参考にしてください。
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